s*m=sheep;


afternoon

今日は半日で授業が終わる日。
そう、花の金曜日。
退屈な魔法史の終わりを告げる鐘を今か今かと待つ。


「ごはーん!!」

「おい……!」


その瞬間、誰よりも早く教室を飛び出した。
もちろん、セブルスの腕を引いて。
寮なんて関係ない。


「ちょっと待っててね」


大広間の前で念を押す。
彼はいつもみたいに、おまえってやつは、と呆れた顔をして溜息をついた。
それでもちゃんと待ってくれることを知っているので、はにっこり笑って大広間に向かった。


「セブルス、お待たせ!」
「べつに待ってなどいない」


そんな返事に慣れっこなので聞き流しつつも、再び手を握る。
今度は腕ではなく手を。

校庭に出て、湖の見える、けれど生徒の目につかない穴場な木陰にたどり着く。
焼きたてのパンを盛り合わせたバスケットを脇に置き、自分たちも腰を落とした。


「ねえ」

「なんだ」

「お腹すいたんだけど」

「食べればよかろう」

「誰かさんのせいで片手しか使えませーん」

「ふん」


誰もいなくなったのをいいことに、セブルスがの掌をぎゅっと握りしめた。
お腹が満たされるのはもう少し後になりそうだ。





死の秘宝 part1 公開おめでとう!